ほとんどの会社は一度は事業計画を立てたことがあると思われますが、それを毎年有効的に継続できている企業はほんの僅かしかないように思われます。規模が小さい企業ほどその傾向は強です。
一般的な事業計画の作り方は、まず①現状分析し、自社の強みと弱みを把握する。次に②市場動向を分析し、自社事業に対する機会(チャンス)と脅威を予測する。そして、③①と②の強み、弱み、機会、脅威を掛け合わせて、強化する項目や改善する項目を決定する。④それらを緊急度や重要度、実現可能性、項目間の関連性などを加味して優先順位を決め、事業スケジュールに落とし込む。⑤最後に、見込まれる収益や経費、設備投資を数値計画としてまとめるというものです。ちなみに、お気づきの方も多いと思いますが、途中の自社の強み・弱みと市場の機会・脅威を整理し掛け合わせる手法はSWOT分析、クロスSWOT分析と呼ばれるものです。
こうした経営計画の立て方は、考えが整理され、計画を立てた当初は「よくできた!」と満足度の高いものですが、1ヶ月立っても、2ヶ月立っても実行されないまま、その経営計画書そのものが忘れ去れてしまうケースが少なくないようです。
それはなぜか?
原因の1つ目は、②の市場動向分析で見ている市場が大きすぎたり、的外れだったりすることです。例えば、とある町の商圏2Km程度の小売店が、社会的に少子高齢化が進んでいるからという理由だけで、高齢者向けの商品を増やそうと計画しても、いざ実行段階で戸惑ったり、失敗することになるでしょう。なぜなら、社会的に少子高齢化による状況と、その小売店の顧客の少子高齢化による状況は別だからです。例えば、高齢者は少食で移動が不自由というイメージがありますが、あくまでもそれは高齢者のみの世帯の場合の問題であって、2世帯同居が多い地域ではこの道理が通りません。そのためいざ高齢者向けの商品を考えてみると「?」と思い返したり、実際に販売してみると思うような成果が上がらず、早々と計画が頓挫することになります。
2つ目は、誰がその新たな事業を担当し、そしてどう進めるか具体的にイメージできていないからです。仮に②の市場分析で見ている市場が適当であっても、いざそれを実行しようとするとそれを担当できる適任者がいない。新たな事業の知識やノウハウもないということが少なくありません。
実は、一般的に普及しているSWOT法は意外にも高度な技術を要します。
忘れてならないのは、事業計画で最も大切なことは、計画した事項を実行することです。
(2つ目に大切なのは、その新たな事業や会社全体で目標の採算が取れる目処を立てること。3つ目は、実行後の検証に役立てることです。)
逆に言えば、今会社でできることは何か?という発想から事業計画を立てたほうが計画立案は早く、実効性が高い!これまで立てた事業計画を実行に移せなかった企業にオススメな計画立案の方法です。
この時に注意してほしいのは、プロダクトアウトの発想は危険です。今の顧客が何を望んでいるのか?また将来の顧客が何を望んでいるのか?という顧客視点の発想が重要です。この発想がずれていなければ、計画の半分が完成したと言っても過言ではありません。それだけ顧客の視点を知ることは重要なのです。また、今会社でできることが思いつかない場合にも顧客の視点を知ることは役に立ちます。
次回は、顧客視点の発想方法について述べます。