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求職者が就職先を探す

6月は、新卒採用の場合、一般的に選考開始の時期と言われていますが、採用活動は進まれていますでしょうか。弊社の関与先でも採用難で人材不足が課題の企業様が少なくありません。

採用難の一つの原因は、労働人口の減少だけでなく、求人情報の集中化と仲介と考えています。昔は企業が求人募集する際は求人誌や新聞等で求人広告を出し、求職者は様々な媒体から自分で情報を収集していました。しかし、求職者はそれがネットで簡単にでき、さらにより希望にあった就職先を斡旋・紹介までしてもらえるので、まさに売り手市場です。

中小企業では人材採用経費を年間数百万円かけているところは珍しくありません。採用サイト登録費用、求人情報メール配信費用、イベント参加費用、紹介・斡旋費用等々。10人前後の中小企業ではこうした経費は決して安くありません。しかも、WEBサイト上で他の企業と一律に並べられるので、仮に給与額が同レベルであっても会社規模や福利厚生まで比較されると不利になります。

しかも、即戦力となる人材を確保したい!これが本音だと思いますが、実際はそう簡単ではありません。仮に採用できたとしても、定着し、さらに会社の求めるスキルを習得するには一定の時間を要します。実際は長期投資になることを覚悟する必要があります。ここに即戦力期待とのギャップがあります。

話はすこし変わりますが、より良い人材を確保しようと考えると相応の給与が必要になることは予想がつくと思います。しかし、現状の社内の給与待遇と比較したときに大きく乖離するために、業界相場の平均以上の額で募集がかけられないということが珍しくありません。この場合、注意が必要です。これはすでに会社が今の業界のトレンドからその分取り残されているともいえるからです。古参の社員が多くて、昔の賃金相場から大きく変わっていないケースなどがこれに当たります。こうした企業では新たな人材が確保できない→生産性が確保できない→収益力が徐々に減少→新たな設備投資もできない→事業縮小・廃業という流れが、近い将来危惧されます。

魅力的な会社に魅力的な社員

ここで提案ですが、企業の採用活動の結果というのは、求職者から見た会社の評価の結果になります。よりよい採用を進めるためには相応に会社に魅力がある必要があります。しかし一朝一夕で会社が突然魅力的にはなれません。

そこで、一つ見方を変えて、人手不足の状況は今後も長く続くと想定します。そして、人手不足の状況は、値上げ交渉の余地があると考えます。そして、これをチャンスと捉え、値上げの交渉、会社の収益性を向上し、給与・待遇の高い会社に変革していきます。(言うは易しですが)

値上げの交渉は(物価高騰分とは別に)5%位は可能でしょうか。可能であれば年商1億円の企業でも従業員1名を確保できる余力が生まれます。但し、この余剰資金をすぐに採用に費やすのではなく、一部を既存従業員の給与待遇改善と生産性を上げる設備投資等に回します。既存従業員の給与待遇改善には国から助成金がでる可能性もあります。従業員のモチベーションも上がるでしょう。さらに、業務改善への取り組みに対する褒賞や成果報酬や能力給制度などとリンクすることができれば、組織力の向上にもつながる可能性があります。また、生産性を上げる設備投資にも補助金がでる可能性があります。それらもうまく活用してさらなる生産性の向上が図れれば、より高い収益を確保できるようになります。こうしたサイクルを何回か回せば、より魅力的な会社になり、採用活動もしやすくなると考えます。

こうした先を見越した経営には、経営計画があった方が、より経営判断ミスを少なくし、より的確で効率的な経営が可能になります。値上げ交渉一つとっても容易ではなく、また時間を要します。競合他社や業界全体の動向や自社の現状を把握した上で、実現可能な戦略を一緒に検討させていただきますので、ご関心ございましたらご一報いただけましたら幸いです。